グッドニュース誌(日本語)
月刊「グッドニュース誌」は救いの福音と恵みの証を伝え、多くの人々をイエス・キリストの世界へ導いています。
「パク・オクス牧師の証」地の果てまで福音を、終わりの日まで主と共に_264
愛が変えた人
右から2番目がソン・ウルスン姉妹、1番左がパク・オクス牧師
あの日、生まれてあんなに幸せだったことはないほど幸せだった。
1963年に私はアプコットンに住んでいた。ある日、私は部屋で聖書を読んでいて、家主の女主人は床に座ってタバコを吸っていた。ちょうどそこに女主人の知り合いの奥さんが干物を売りに来た。しばらく二人が話を交わしていたが、その奥さんが私の部屋の前に置いてある小さなアルミ鍋を見て聞いた。
「空き部屋を誰かに貸したか?」
「うん、教会の伝道師に貸した。」
「伝道師先生?」
その奥さんは伝道師という言葉に関心を示しながら女主人に私について聞いた。
「どこからいらっしゃったの?」
「テグから来たそうよ。」
私はあの奥さんが教会に通っている人だと確信したので、聖書を持って部屋から出て福音を伝えた。その奥さんは罪の赦しに関する私の話を静かに聞いていた。その2時間後、その奥さんの表情が変わってきた。
人々は聖書に出てくるイエスの話は、正確に知らないから信じていないだけであって、本当の意味を知れば信じざるを得ない。私は罪の赦しを得て宣教学校に入ってから多くの人に福音を伝えた。ところが、私が伝える福音を聞いて救われた人は一人もいなかった。しかしその奥さんは違っていた。何も言わずに静かに聞いている奥さんの考えは分からなかったが、御言葉を伝え始めて2時間ほど経ったとき、奥さんが心に福音を受け入れたのか顔の表情が変わってきた。
「よく理解できましたか?」
「はい。罪がきれいに洗われました。私は自分が何かをしてこそ罪が洗われるのだと思っていました…」
その日、私は言葉にならないほど幸せだった。この世に生まれてこれほど幸せだった日は一度もなかった。
その奥さんは多くのことは語らなかったが、表情や態度を見ると心の変化が始まったことは確かだった。奥さんは喜びながら涙ぐんで家に帰った。福音伝道者になる道は簡単ではない。 しかし、福音伝道者が享受するこのような喜びや感謝は、世の中の誰も持つことがないだろう。
その奥さんの心に新しい世界が作られた
翌日からその奥さんは夕食後に毎日やって来て聖書の勉強をした。人々は誰かに会ったら互いに多くのことを話す。しかし世の中のどんな話も福音伝道者が伝える福音ほど貴いものはない。
なぜなら、福音は聞いて受け入れた人の心に限りない喜びと感謝が溢れるようにさせるからだ。
今まで数多くの人に福音を伝えてきた。中には福音を受け入れない人がいて残念だが、反対に謙虚な心で話を聞いて受け入れる人も多い。その人がどんな人であろうと関係なく福音を受け入れたら変わるようになる。
福音を聞いて救われたその奥さんの心にも変化が現れた。心に新しい世界が形成されたのだ。イエス様がその奥さんの心に入り共にいながら罪や他のことに対しても新たな変化を与えられた。
その奥さんは救われてからほぼ毎日訪ねてきて聖書の勉強をした。聖書の話を始めると喜びと感謝に満たされていつも時間が足りなかった。その後、その奥さんの目の不自由な夫も救われた。
貧しい田舎の教会に小さな天国ができた
それから3ヶ月後、私はアプコットンからゴチャンのジャンパリに移動することになった。ある日、ゴチャンの市場で福音を伝えていたとき、アプコットン村で救われたその姉妹が私を訪ねて来た。姉妹が商売のために遠方に行っている間に私が移動してしまったので、家に帰って来た姉妹はその知らせを聞いて天が崩れるようだったという。
姉妹は私に会いたくても当時は携帯電話もなく、どこに行けばいいのかわからなかったと言った。ゴチャンでは月に数回定期市が開かれたが、ちょうど姉妹が「きっと伝道師先生はそこで福音を伝えているはずだ」と思いつき、やたらに市場へ私に会いに来た。姉妹の予想通り、私は市場で福音を伝えていて、そのように再会することができた。私たちは市場の近くにある木陰の下に座って話を始めた。
「姉妹、これからは姉妹がアプコットン教会で御言葉を伝えてください。」
すると姉妹はできないと頑なに拒んでいた。
「姉妹がしなければなりません」
姉妹は非常に負担に思っていたが、最後は私の話を受け入れてくれた。アプコットンに帰った姉妹はそのときから御言葉を伝え始めた。当時、姉妹は聖書について詳しくなかったが、下手でも諦めずに御言葉を伝え続けた。驚くべきことに、村人たちが一人二人と救われ始めた。姉妹は福音を伝えることが忙しくなり、商売に行く時間もなくなってきた。
だんだんアプコットン教会が変わり始めた。村の女たちがやって来て罪の赦しを得、また病に苦しんでいたある婦人は姉妹の祈りで治ったこともある。それだけでなく、悪霊に取り憑かれた村人たちが来たとき、姉妹の祈りで悪霊が追い払われて正気に戻る人も多くいた。
田舎に小さな天国が形成され、その天国に姉妹がイエスと共に主人となった。次第に噂を聞いて遠方からも多くの方が悪霊に取り憑かれた人を連れてくるようになった。そして姉妹の祈りで悪霊が取り除かれ、その村は喜びが溢れる村となった。
貧しい田舎の教会に小さな天国ができた。どんな人でもその教会に来て御言葉を聞いた後は新しくなった。貧しい人でもどんな人でもその姉妹に会えばみんな新しく生まれ変わった。
この世で最も尊いこと
ずいぶん歳月が流れた。現在もアプコットン村の近くにはその姉妹が住んでいた「クォンビン」という村がある。姉妹が歳を取ったときはプサンの息子の家に行って老後を送った。そこに行っても暇があれば人々に会って福音を伝えていた。それからしばらくして主の懐へ旅立った。姉妹が主の懐に帰ってからもはや10年近くなる。
ある奥さんがイエスに出会い、苦痛から抜け出して最も輝く人生を生きて神様に帰った。時間と共に姉妹に対する記憶はだんだん薄れているが、天国でまた会える日を思うと寂しくはない。
神様は私たちに太陽と星、そしてすべてをくださった。もう一つ、福音を伝える尊い人生を私たちにくださった。それはこの世で最も尊いことである。福音のために生きれば誰もが幸せになる。