「レビ記いけにえ講解」穀物のささげ物④

すべての穀物のささげ物に
塩を欠かしてはならない


信仰によってイエス・キリストの命を得た私たちは、地の塩です。
この世が腐っていくのを防ぎます。そして、私たちが
天の御国の味を知り尽くせば、福音のために生きます。

「なります」と「なりなさい」の違い
レビ記の2章13節には、「あなたの穀物のささげ物にはすべて、塩で味をつけなければならない。あなたの穀物のささげ物にあなたの神の契約の塩を欠かしてはならない。あなたのささげ物には、いつでも塩を添えてささげなければならない。」と書いています。神へのささげ物を準備するとき、神の要求に合わせなくてはなりません。神は穀物のささげ物の中に塩を欠かしてはならないと言われました。
　イエスは弟子たちに「あなたがたは、地の塩です。」と語られました。また、「あなたがたは、世界の光です。」とも語られました。このみことばを正しく理解できていない人々は「あなたがたは、世界の光となり、塩となりなさい」という意味で受け取ります。または、「私たちは、世界の光となり、塩となろう」とも受け取ります。「あなたがたは、地の塩です。」と「塩となりなさい」というのは大きな違いがあります。
イエスが弟子たちに「しかし、聖霊があなたがたの上に臨まれるとき、あなたがたは力を受けます。そして、エルサレム、ユダヤとサマリヤの全土、および地の果てにまで、わたしの証人となります。」（使徒1:8）というみことばには、「なりなさい」ではなく「なります」になっています。これにも大きな違いがあります。イエスはペテロに、「わたしについて来なさい。あなたがたは人間をとる漁師になりなさい」と言われたことではなく、「わたしについて来なさい。あなたがたを、人間をとる漁師にしてあげよう。」（マタ4:19）と言われました。「なりなさい」には「自分がしなくてはならない」という意味があり、「なります」には「だれかによる」という意味があります。つまり、「なりなさい」には私たちの意思が必要で、「なります」には主の意思が含まれているのです。

「I got」と「You got」
戦闘機には二人のパイロットが搭乗します。もちろん一人乗りの戦闘機もありますが、席が二つある戦闘機には、それぞれの席に操縦ができるスティックがあります。それは、両方を同時に動かすのではなく、「私が操縦する」というサインの「I got」と言った人がスティックを握って操縦します。そして、その人が「あなたが操縦しなさい」というサインの「You got」と言えば、そのときからは交代された人がスティックを握って操縦します。もちろん先に操縦していた人はスティックを放します。片方のスティックを右に動かすともう片方のスティックも右に、片方のスティックを左に動かすともう片方のスティックも左に動きます。
飛行機を操縦するときの「I got」と「You got」というのはとても大切な意味があります。一人が「I got」と言えば、もう一人は休むことができます。その後の操縦に関する責任は、「I got」と言ってスティックを握った人にあります。
聖書を読むと、聖書にも「I got」があって、「You got」があることに気づきます。「I got」と言われたら、イエスが「私がする」というサインで、「You got」と言われたら、「あなたがしなさい」というサインです。イエスが、「…聖霊があなたがたの上に臨まれるとき、あなたがたは力を受けます。そして、エルサレム、ユダヤとサマリヤの全土、および地の果てにまで、わたしの証人となります。」と言われたのは、「なりなさい」ではなく、「なります」だったので、イエスが「I got」、つまり「わたしがする」というサインです。「わたしがあなたを伝道ができる人間とする」というサインです。
イエスが「わたしがあなたを神の前に全うされた人間として立たせる」と約束されたならば、スティックは私たちではなくイエスが握っておられることです。そのときは、私たちは手にボールペンも握らず、手ぶらで休むべきです。私たちは何もせずに休むのがイエスに頼る信仰です。

イエスにゆだねて平安に休む信仰
マタイの福音書の5章で、イエスは「あなたがたは、地の塩です。」と語られました。このみことばは、「I got」と「You got」のどちらの意味でしょうか。これは、イエスが私たちを塩になるようにされたという意味です。しかし、このような信仰の秘密を知らない人々には、聖書は「たくさんの善を行いなさい」と書かれているように見えて、自分で頑張ろうとします。そして、聖書が語る信仰とは、罪を犯さずにたくさんの善を行うことだろうと思うのです。
このようなことを悟ると昔の私たちの信仰は根本的に間違っていたことに気づきます。それまでは、イエスが「I got」と言われると、私たちも「I got」と言いました。イエスがスティックを握られたのにもかかわらず、私もスティックを握ったので、信仰が上手くいくわけがありませんでした。イエスを信じるというのは、イエスにすべてをゆだねて平安に休むことです。どんな問題があっても、イエスが「I got」と言われると、私たちは直ちに「You got」と言って手を放して休まなければなりません。すると、問題はとても簡単に解決されます。
　ある人は、「イエスが私の罪を赦してくださったので、これからは私がイエスのために何かをするべきでしょう」と言います。それはとんでもないことで、イエスは欲張りですので、「I got」とスティックを握ると放そうとされません。放そうとされるどころか、スティックを握ったままで天の御国へ上られたため、いまだに「I got」は続いています。そういうわけで私たちがやることは、「Jesus got（イエスよ、どうぞ）」と言うだけでいいのです。
　イエスは今も変わりなく、私たちの信仰のスティックを握っておられます。私たちの前で嵐が吹いても、雨雲に覆われても、霧で何も見えなくても、スティックはイエスが握っておられます。事故が起きてもイエスがすべてを解決してくださいます。

本物の塩と偽物の塩
イエスは私たちに「あなたがたは、地の塩になりなさい」と言われたのではなく、「あなたがたは、地の塩です。」と言われました。救われた人はどこの人であれ、みんなが地の塩です。
　仮に私たちが塩になるために努力しなければならないと考えてみましょう。多分少しでも塩らしい塩になろうと努力するでしょう。塩といちばん似ているものが石英だと思い、石英を塩のように見せるためには、小さな四角形に削る必要があります。その石英を塩の形によく削ると、外形は塩と似てきます。ところが、石英には大切な塩味がありません。石英自らは塩味を出せないですが、塩水にしばらく浸してから味見すると塩味がします。形も塩と似ていて塩味もするので、かなり塩のように見えてきました。しかし、塩は水中で溶けますが、石英は溶けないという問題がまだ残っています。
霊的な塩はどのように作られるのでしょうか。私たちはどのようにその味を得て、またどのようにその味を出すことができるのでしょうか。

腐敗を防ぐ塩
塩の働きについて話します。塩には腐敗を防ぐ働きがあります。魚を釣ったら腐る前に塩をかけておくと腐敗を防ぐことができます。食べ物にも塩を入れると腐敗を抑制することができます。塩の働きは、食べ物の中で繁殖するカビや細菌を殺し、腐敗する条件を無くすことです。
イエスはマタイの福音書の5章でこう言われました。「わたしのために人々があなたがたをののしり、迫害し、ありもしないことで悪口を浴びせるとき、あなたがたは幸いです。」（マタ5:11）私たちが福音のために働くとき、人々は私たちに間違いがあるから指摘して悪口や迫害するのではなく、ありもしないことで迫害するため、むしろ喜びおどりなさいというのです。福音を伝えている私たちに立ち向かう勢力であるサタンは、私たちと真正面から戦うと負けてしまうから、ありもしないことで私たちに立ち向かうのです。卑劣なことばで誹謗したり、非難したり、迫害するのです。
そして、その後に「あなたがたは、地の塩です。」というみことばが続きます。塩を入れたのに何の働きも起きないならば、それは塩ではないでしょう。塩を入れるとある働きが起き、その第一の働きは、腐敗を起こすものを殺すことです。キリスト人は光と塩であるため、私たちが黙っていても、世の中の人々は私たちに対して負担を感じるようになります。私たちがそうなろうとしてできることではありません。私たちの意思とは関係なく、イエスは「あなたがたは、地の塩です。」と語られました。そういうわけで、私たちは地の塩であり、世界の光です。皆さんの職場、町、家庭では皆さんがいるだけでも腐るのが止まるため、腐っていく世界は皆さんが気に入らず、負担になるのは当然のことです。
塩の第二の働きは味を出すことです。ヨブ記の6章6節では、ヨブが「味のない物は塩がなくて食べられようか。」と言いました。食材の味を出してくれる調味料の代表が塩であることを知っていますか。聖書を読むときも、イエス・キリストを信じる信仰が入ってくると、食べ物に塩が入って味がよくなるように、みことばの味がよくなります。逆に、信仰のない人が聖書を読むと、塩気のない食べ物を食べるように、みことばの味を感じることができません。食べ物に塩を入れると味がよくなるように、私たちの生活にイエス・キリストという命が入ってくると、そのときから私たちの人生は変わります。
私たちが天の御国の味を知り尽くせば、私たちの人生は変わります。御国を見ないでこの世だけ見た人は、この世に魅力を感じるでしょうが、その国を一度でも見た人はこの世に何の未練もないはずです。私たちがこの世に未練があるのは、天の御国を見たことがないからです。もし天の御国行きの観光ツアーの募集があり、特別ビザを取って一ヶ月ほど観光することができるとしたら、皆さんの心は変わり、むしろ戻ろうとしなくなるでしょう。
アメリカへ行くためにはビザが必要です。アメリカ大使館では、申請されたビザはすべて発行したいようですが、問題はアメリカに行って帰ってこなくなることです。国へ帰ってくるという確証さえあればビザを発給するそうです。戻ろうとしないことを恐れた神も、天の御国のビザを最初から発給されず、決まった人だけを呼び入れる方法を使っておられるかも知れません。皆さんは世の中しか知らないため、この世に未練が多いでしょうが、一度だけでも天の御国を見てくることができるとしたら、この世への未練はなくなるでしょう。「この世の暮らしは息がつまって…」と先に行くでしょう。
　救われた聖徒は弱い者のようでも強い者であり、何も持っていないようでも、すべてのものを持っています。私たちの中の平安を崩すような問題があっても、イエス・キリストはそのすべてを解決してくださいました。そのため、どんな環境の中にいても喜びと満足があり、いつ死んでも何も思い残すことはありません。主は全世界に福音を伝えるために私たちを使うことに喜んでおられます。