グッドニュース誌(日本語)
月刊「グッドニュース誌」は救いの福音と恵みの証を伝え、多くの人々をイエス・キリストの世界へ導いています。

「パク・オクス牧師の証」地の果てまで福音を、終わりの日まで主と共に_253

投稿者
goodnews2
投稿日
2021-02-17 21:11
閲覧数
402

「パク・オクス牧師の証」地の果てまで福音を、終わりの日まで主と共に_253

人生の温かい味を残して亡くなった
イ・イルヒャン牧師

私は宣教会の牧師ではない多くの牧師たちと会った。その方々も人間であるため暮らしは様々だが、それでも神への使命感は持っていて、間違いもあるが神に仕える彼らの人生が一般の人々と違うことは事実だ。

 

「パク牧師、ぜひ来てください!」
1978年の冬のある日、見知らぬ牧師ひとりが私を訪ねてきた。その方はハンセン病を患っていて、 自分はハンセン病患者の教会の牧師だと名乗った。私より20歳も年上のその牧師が私を訪ねてきた理由を話してくれた。冬に各教会で集会をする予定だが、自分の教会ではある牧師を講師として招待したが、集会の1週間前にその牧師から忙しくて来られないと言ったそうだ。集会を準備する途中でその連絡を受けて、自分たちの教会がハンセン病患者の教会だったので更に残念だったと言った。「牧師が御言葉を伝えることより重要なことがあるか?ハンセン病患者の教会だから来ないだけだ」と言って恨む人も多かったそうだ。
その方は事情を話した後、私に集会の講師になってほしいと頼んだ。私はその方の頼みを承諾して日取りを決めた。それでもその方は心配になってもう一度確認した。
「パク牧師、ぜひ来てください!」
「はい。必ず行きます。」
「もし、パク牧師まで来なければ、教会の聖徒たちはみんな失望して神様を恨むでしょう。」
「心配しないでください。どんなことがあっても必ず行きます。」
それでもその牧師は安心できなかったのか、一緒に出かけましょうと誘ってきた。その方は私をある焼肉屋に連れて行き、夕食をおごってくれた。あの頃の私たちは貧しくて焼肉は思いもよらないごちそうだったのでとても美味しくいただいた。

 

私のような者が何でハンセン病患者村に行くのをためらうのか
集会を3日後に控え、夜明けに礼拝堂に出て祈りをささげた。生まれて初めてハンセン病患者村に行って、彼らと一緒に過ごすことになるので、「食事はどうする?寝るときはどうやって寝るの?」と心配になった。よくわからないが、ハンセン病患者たちと一緒に過ごすことに少し躊躇する気持ちがあった。そのとき、聖書の御言葉が思い浮かんだ。マルコの福音書14章3節の「イエスがベタニヤで、ツァラアトに冒された人シモンの家におられたとき…」という御言葉だった。
その御言葉の前で「聖なるイエスもベタニヤのツァラアトに冒されたシモンの家に食事をするために行ったのに、私のように卑しい人間が何でハンセン病患者の村に行くことをためらったのか。」という気がした。神がハンセン病患者に対する私の心を開いてくださった。聖書には、ツァラアトに冒された人が一般の人々と一緒に暮らすためには全身がツァラアトに覆われていれば(レビ記13:13)大丈夫だと言われた。つまり、イエスは全身がツァラアトに冒されたシモンの家に行って食事をしたのだ。イエスもそのシモンの家に行かれたのに、私がハンセン病患者に対してためらうことは悪だという気がした。ハンセン病患者教会に行く3日前、神は私の心からその病に対する嫌な思いをすべて取り除いてくださった。

 

私はその美しい夜が忘れられない
集会日になってハンセン病村の教会に行った。とても寒い日だった。ハンセン病に対して嫌な気持ちがまったくなく心も平安だった。集会が始まって御言葉を伝え終わった後「罪の赦しを受けたい人は手を挙げてください。」すると30人余りが手を挙げた。礼拝堂は寒かったので人々に私の部屋に来るように言った。私の部屋はすぐに人々でいっぱいになった。
私はその美しい夜が忘れられない。夜10時に始まった信仰相談は夜中1時まで続いた。私は十字架で流されたイエスの血が私たちの罪をどのように洗い流したのかを詳しく説明した。その場に座っていた人々は皆「ハレルヤ!」と叫びながら喜びの涙を流した。その歓声で隣の部屋でお休みになっていたイ・イルヒャン牧師の夫人が何事かとやって来て、すぐに罪の赦しを受けて喜んだ。
救われた人々が一人ずつ証を始めた。自分たちがどんな罪悪に陥っていたのかを話し、その罪から解放された喜びを隠せなかった。ハンセン病患者たちは先を争って証をした。教会の長老の息子が言った。「私は父親に内緒でタバコを吸ってお酒を飲みました。」部屋にいた長老が息子の話に驚いたが、罪の赦しを受けたので喜んでくれた。初めて行ったハンセン病患者の村で迎える初日の夜は感激でいっぱいだった。
次の日もイエスの血がどのようにして私たちの罪を洗ってくださったのかを伝えた。とても寒い時期だったが、私たちは人生で一番嬉しい1週間を過ごした。
その後、私たちの教会とヨンチョンのハンセン病患者教会の聖徒たちは家族となった。イ牧師は私より20歳も年上だが、まるで兄弟のように親しくなった。ハンセン病患者の村では養鶏場を営む人が多いので、私たち教会の聖徒たちがその教会に遊びに行って帰るときには、いつもその教会の聖徒たちは鶏を何羽か持たせてくれた。本当にありがたかった。
イ・イルヒャン牧師がヨスのエヤン院教会の牧師を紹介してくださったので、その教会にも行って集会を行った。その他にも10ヵ所ほどハンセン病患者の教会に行き、福音伝道集会を行った。そして彼らと実の兄弟のようになった。その後も私はハンセン病患者教会の牧師たちと交流を続けたが、その方々からは他の人に感じられない温かさや喜び、感謝を感じることができた。ハンセン病患者の村の連合青少年修練会のときにも講師として招待されて御言葉を伝えたりもした。

 

ハンセン病にかかって生きてきた日々を飾らず聞かせてくれた牧師
数年後、私はソウルに移動してきた。私がソウルに来た後も、度々ハンセン病患者村の牧師たちが私を訪ねてきた。5、6人ほどが夜遅く私が住んでいたウンマアパートに来て、一晩中聖書の御言葉を交わし、夜が明ける前に帰っていた。
ある日、イ・イルヒャン牧師が「私は帰らずにもう1日泊まりたい」と言って、もう一日滞在した。イ牧師は私に「パク牧師、私は放送を通して御言葉を伝えたいです」と、自分の嬉しい気持ちを放送で伝えたいとおっしゃった。キリスト教放送局に私の知り合いがいて紹介してあげた。イ牧師は『新しくしてください』という番組に出演した。それからイ牧師は極東放送局でも説教する道が開かれ、多くの人々に喜びと希望を与える牧師となった。イ牧師が極東放送局で放送されたのがきっかけで、私も極東放送局で長い間放送説教をした。
一度はイ牧師は自分がハンセン病に冒されてからどのように生きてきたかについて話してくれた。私は涙をこらえながら話を聞いた。ある冬の夜に橋の下でわらで作った米俵を拾い、それを布団代わりにして寝たが、その米俵が凍って固くなり、冷たい風が入ってきたので、夜中に起きてそれを足で踏んで柔らかくしてまた寝たという話や、ご飯を乞うために歩き回った話などを素直に聞かせてくださった。ハンセン病に冒されて生きてきたその話にあまりにも心が痛かった。イ牧師はその後、イエスに出会って罪の赦しを受けた。



誰よりも温かさを残してくれた牧師が懐かしい短い期間ではあったが、私の近くにいて人生の温かさを感じさせてくださったイ・イルヒャン牧師。ある日、イ牧師が主の懐へ旅立ったという話を聞いた。それから長い歳月が流れたが、今もあの頃に感じた温もりが懐かしい。ひどい病によって軽べつとひどい仕打ちを受け、恨めしい人生を生きた牧師、そしてイエスに会い、多くのハンセン病患者の心に喜びと希望を与えた牧師、今はハンセン病もなく、軽べつもない天国で私たちを待っている牧師。今も私は兄のような牧師に会わせてくださった主に感謝する。私の心に誰よりも温かさを残してくれたイ・イルヒャン牧師が懐かしい。

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