キム・ジュウォン(グッドニュース・カンナム教会)
今日から神様を信じなければなりません

 両親の離婚、継母の虐待、兄弟との別れ、義理の父の暴行、一人残されてから祖母との生活、生計に精一杯の母、思春期の迷い、お金がなくて夢を捨てざるを得なかった学生時代…。20歳になるまで、私は不幸な日々を送らなければならなかった。そんな私が成人になったということは、私を自ら守り、頑張って生きたいという新しい人生の意志を私に植えつけた。思う存分、自分を楽しませてたかったし、お金もたくさん稼いで成功したかった。

 23歳の頃からアパレル業を始め、人目にも羨ましがられるほど勢いに乗った。私はもっと強く成功もしたいし、お金で自分だけの高いお城を築きたかった。しかし、いつ崩壊するか分からない未来に対する不安感が私を霊媒師のところに導いた。

「お前の先祖はあなたのことを気の毒に思い、助けてあげようとしているが、しかし…お前の先を塞いでいる男が見える…。」

「そんなことはだめだ!苦難を乗り越えてやっと手に入れた私の人生なのに…塞がれたら困る!どんな手を使ってでも自分の未来が大きく切り開けるように私が作る!」

 人間より強そうな悪霊の力を借りてでも、自分の将来を守ろうとした私の意志は、私の暮らしを違うところへ連れて行っていた。年に数回の御祓いをしながら霊媒師の家に出入りするようになった。あらゆるお守りを持ち歩き、よく占ってくれる霊媒師を選んで、自分の人生のすべてを任せた。結婚も、事業も、周りの人も、職員のことも、子供も、財産までもすべて霊媒師に相談して決めていた。

 ある頃からは、私の心が不便になっても霊媒師の指示に従うしかなかった。かかしのように、抜け出す勇気もなくなった。抜け出そうと思う瞬間、私のお金と成功、すべてが崩れてしまいそうだった。かかしのような私は極度の不眠症に冒され、薬も効かなくなった。うつ病で放蕩な生活、贅沢と虚栄心は極限に達した。

 結婚生活はわずか1年で終わった。私の家庭は失敗作のように見えて、死にたくなるほど抜け出したかった。それでまた頑張ればいいという思いで、子どもを抱えて家を飛び出てしまった。
27歳 、30歳 、34歳 、38歳 、40歳…。私は、霊媒師と過ごしながら薬に頼り、いくつかの事業を広げながらお金を稼ぐ事だけ考えた。空しい心はお金を浪費することで埋めても、疲れ果てていた精神はついに、霊媒師のように、悪霊がざわめく声に苦しめられていた。あらゆる悪霊が私の身に入ったり出たりしながら私を苦しめた。とうとう、周りの人たちと会うのも怖くなり、家族も嫌になった。

「かわいそうに…、親も兄弟もみな要らない。彼らは何とかしてお前のお金を持って行こうとしているんだ。一緒にいたら厄運ばかりだ。」

 霊媒師たちの話が、家族より私をもっと心配しているように聞こえて、家族は私の未来に躓く石になりそうだと思い、距離を置くようになった。私はお金と霊媒師以外には何もない一人ぼっちのように孤立していった。その人生がとても辛くて苦しかったが、私の周りの人たちも皆そのように生きていた。人生はもともとそういうものだと思っていた。

 2012年9月末頃、一緒に暮らしていた霊媒師が突然、夢の話をした。

「昨日、私の心臓に刺さった十字架をぱっと抜いちゃった夢を見たが…。」

 何も思わずにその話を聞いたが、5年間も姉妹のように仲良くしていた霊媒師は、その2日後から理由もなく私を避けていた。そんな中、大変なことが同時に起こった。前は霊媒師を訪ねて悩みを打ち明けて方法を探していたが、それさえもできなくなったことに耐えられなかった。それに、うつ病の薬のせいで、気を引き締める余力も意志もなかった。

「何も考えずに飛び降りろ。そうすればすべてが終わるんだ。お金は少し残しておけば、娘をよく育ててくれるはずだ。まあ、娘も大きくなったから心配は要らない。皆、死ぬために生きている。人生そのものが苦痛なのに…。できるだけ早く休みなさい…。」

 そのささやきは恐ろしいほど甘かった。私の意志も、そのささやきには勝てないということを感じた。何か強い力が私を引っ張ろうとするのを感じた瞬間、正気を取り戻すために努力した。

「チェ・ジンシルもこんなふうにして死んでしまったのか?駄目だ。このままでは私は死んでしまう! しっかりしろ!」

 明け方にコンピューターをつけて有名な精神科医を探した。ところが、その深夜、電話がかかってきた。

「ジュウォン姉さん、ミョンジョンです。何してますか?」

「今少し頭がおかしくなったような気がして…精神科の治療を受けようかと…。」

「姉さんが怒るかも知らないが、言わなきゃダメな気がする…。」

「なに? 話してみて。大丈夫だから。」

「あの、一度、私の教会の牧師先生に会ってみない?」

 そのようにして、私はパク・オクス牧師先生と会った。20年近く付き合ったミョンチョンは以前から何度も教会の話をしたが、私はその話には関心がなかった。ミョンジョンの道は私の道とは違うと思っていた。パク牧師先生に会うことは約束したが、それほど期待はしていなかった。会っても何も変わらないと思っていた。彼女が尊敬する牧師にすぎないし、‘良いみことばが聞けたら1か月くらいは耐えられるだろう…’という思いで、慰めてほしかっただけだった。

 グッドニュース・カンナム教会のパク・オクス牧師の執務室に向う時から精神が混迷し、体に異常な気流が生じ始めた。私は牧師先生に、呆然とする状態で、今まで生きてきたことと苦しみを話した。すると牧師先生は聖書のみことばを私に見せてくださった。ところが、牧師先生は私とは無関係な事ばかり話していた。神様はイエスに私たちのすべての罪を負わせたという…。

「神様を信じなければなりません。」

「あの…それが…、私が神様を信じることはできますが、私のせいで娘が危なくなったらどうするんですか。40年も神様を知らずに生きてきて、今日、初めて知ったので、もう少し考えさせてください…。」

「いいえ。考えずに今日から神様を信じなければなりません。」

牧師先生は私に按手祈りをしてから聖書をプレゼントしてくださった。それがすべてだった。私の心が安らげるみことばも、慰めの話も言わなかった。相変わらず精神は混迷のまま、心臓の鼓動だけが不規則に鳴り響いた。私は何かに追われているように家に帰りたくて汽車に乗った。

「今日から神様を信じなければなりません。」

「今日から神様を信じなければなりません。」……

「今日から神様を信じなければなりません。」

 正気に戻れないまま家に帰る数時間、ずっど、その声だけが数百回も耳元で鳴り響いていた。他のことは考えさせないように鳴り響くその声が、私の体をコントロールしているのを感じた。ミョンジョンがスマートフォンにダウンロードしてくれたグッドニュース宣教会のアプリを開き、色んなみことばを聞くこと以外、何もできなかった。
「一体何のことなのか…、どう信じろというのか…、今すぐ、ただ信じればいいということか? どうしろというんだ?」

 しかし「今すぐ信じろ」という声は耳元で鳴り続け、心臓は異常にときめいていた。

「こんな私を救うために、イエスが十字架に釘付けになったのか?」

家へ帰るやいなや、何か大きな力に引かれて、家にあるお守りをすべて探し出した。神を信じようと思ったら聖書を見なければならないと思ったが、家にお守りがあるということが不便だったからだ。
お守りなしで生きるなんて想像もしなかった私が、自分の手でそれらを燃やしていた。確かに、その力は私ではなく、別の力だった。30個あまりのお守りを集めて燃やすと、今まで私の慰めだと思ってきたお守りが、初めて気持ち悪くなり、怖かった。背中がぞっとしてきた。家の中は陰湿な空気が漂い、私を恐怖に陥れていた。お守りはひどい臭いを漂わせながら燃え上がり、その光景はあまりにも恐ろしいものだった。
もう寄り所はなくなった。唯一にあるのは聖書だけだという気がして、狂ったように聖書を読み始めた。とても怖い気持ちで読み始めたが、読んでいるうちに私がとても大きな罪人であることを発見した。いや、私の罪が見える節だけが目に入ってきたのだ。神様の御前で地獄に落ちる大きな罪人が、まさに私だった。

「悪人の中の悪人は私だった…。ところでこんな私を救うためにイエスが十字架に釘付けにされたというのか?こんな私のために釘付けされたの?」

 私は神様のことも知らず、自分勝手に生きていたのに、こんな自分を捨てず、呪いの中から救い出してくださった神様の大きな愛を初めて知った。耳に鳴り響いた牧師先生のみことばのように、本当にその日から私は、私を愛してくださる神様を信じることができた。

 とても感謝したが、申し訳ない心もあった。これからどうしていいのかわからなくて何時間も声を上げて泣いてしまった。
その翌日、20年間も私を苦しめていた不眠症とうつ病、そして毎晩苦しめていた悪霊の声が消えた。顔色も変わっていて驚いたが、さらに驚くべきことは生まれて一度も感じたことがなかった平安と喜びと幸せ、これらすべてを合せても説明つかないほど新しい心が生まれた。苦しくもなく、辛くもなく、限りない喜びだけだった。周りの人々に電話をかけまくった。こんなことは初めてだと…、この世では絶対感じられないものだと…、神様を信じなければならないと、私は神様に出会ったと、水がめを置いて町へ走って行くサマリアの女のように、私は喜びを隠せられなかった。

 その後「聖書が神様であり、神様は聖書のみことばで私とともにいる」と信じた。聖書を読むと神様が私と一緒におられるような気がした。神様はみことばを通して私に大きな恵みをくださった。ローマ書10章17節の‘信仰は聞くことから始まり’は、神様が私に初めて心に刻んでくださったみことばだ。このみことばで今まで大きな恵みを受けている。そして種が蒔かれた四つの畑に関するみことばを読んで、初めて神様に祈りをささげた。‘私の心に蒔かれたこの福音の種が捨てられることなく深く根を下ろし、実を結ぶことができるようにしてほしい’と。
ようやく見つけた神様の懐を失いたくない思いが切実だった。パク牧師先生からいただいた聖書は、私にとってとても特別だった。神様はその中で私と一緒にいてくださって、聖書の目次も分からなかった私に、その時々に当てはまるみことばを私の心に植えてくださった。私の人生を一つ一つ導いてくださる大きな恵みを救いとともにくださった。

 2012年10月11日、パク・オクス牧師先生に福音を聞いたその頃、娘のシヒョンはソウルで、私はプサンで離れて生活していた。今考えてみればどんでもない話だが、当時、霊媒師が娘のためにも遠く離れて暮らしたほうがいいと言ったので、娘を行かせざるを得なかった。ところが、その日パク牧師先生は、「ソウルに来て娘のそばにいなさい。教会の近くならなおさら良い」と言った。私はその言葉どおり、急いでソウルへ上京した。今まで住んでいたプサンの家もすぐ売れて、ソウルで住む家もすぐ用意できた。あっという間に順調に進んで、私は新しい家に移った。思春期只中の娘を見ると、‘あの頃の私は本当に狂っていた’と思う。
どうすることが娘のためなのかも見分けがつかないほど、私は正気ではなかったようだ。私のすべてのものが、あるべき本来の場所に取り戻され、40年間も逆さまに急落していた私の人生が正常的に変わっていた。そして自殺して人生が終わってしまったはずの私が、今こんなにも幸せに生きていることに感謝し驚くばかりだ。 パク牧師先生も、死んだはずの私が恵みの中で幸せに暮らしている姿を見て喜んでくださった。

 救われてから2年が過ぎ、私の人生は変わった。経済面でも以前に比べれば極端に変わり、家族とは仲が良くなった。私の周りで仲良しだった人と遠かった人が互いに入れ替わった。自分の未来を心配することより、隣で私を困らせる娘がもっと好きだ。私の重荷は、イエスの心優しく、へりくだっているくびきに変わった。イエスがくださった平安が、私の顔も心も生き方さえも変えてしまった。突然変わった私が不思議だったのか、母も神様が生きておられるのを見て救われた。まだ兄は救われていないが、神様が生きておられることを知るようになった。友達も私を見て驚いて、神様を求める心になったのを見ると、とても感謝するばかりだ。

 神様は、サタンの奴隷となって暮らしていた地から私を救い出し、私を試み、恵みで導き、人がパンだけで生きるのではなく、主の口から出るすべてのもので生きることを教えてくださった。正に私の衣服はすり切れず、私の足は、はれていなかった。明日のための準備も必要ないマナで、神様は今も私の面倒を見てくださる。あらゆる所に泉が流れ、すべての石は鉄であり、山々から青銅を掘り起こすように、祈りをささげれば全てが満ち足りるような良い地に神様は私を導いてくださった。暗くて終りのないトンネルの中を一人で歩くこと、自分の人生がそうであり、世の中の人生も皆そうだとばかり思っていた。疲れ果ててすべてを終わりにしたいと思ったとき、神様はそこから私を救い出し、光の中に移してくださった。
世の中の楽しさとお金では、到底、得られなかったこのような喜びを、私の心がどのように受け取って、私の心がどのようにしてこのような感謝を作れるのか、限りなく感謝するだけだ。

 2012年、恵みである聖書を持って、生涯初の礼拝を捧げる日、私はパク・オクス牧師先生のところに駆けつけ、聖書の最初のページを開いてして差し出した。

「神様とともに福音とともに。」

 牧師先生が書いてくださった文章、牧師先生の心がそのまま聖書に染み込んだ。そのせいか、いつもこの言葉は私に大きな力を与えてくれる。私の姿とは関係なく、神様が永遠に私と一緒におられ、福音とともにする自分を見るたび、どれほど幸せかわからない。この一節が書かれている聖書の最初のページは、私が聖書で最もよく見る場所でもある。最後に、今この時間、私の切なる願いは、福音だけがすべてを変えることができるということを、私の友達や私が愛する皆に知ってもらいたい。彼らが真の福音を求めることを願い、心でこの福音を信じて、私と同様に、神様に移される大きな恵みを、彼らも受けることを切に願うばかりだ。足りない私にこんな時間をくださった神様と教会に、深く感謝を申し上げ、このすべての栄光を主に捧げる。

 

 

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